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インターネット死体蹴り

恋愛環

虹色の油が浮かんだ水溜りの傍らで泥をすする気配がした

泥すすりの女は丁字路に這い蹲ってアスファルトの窪みに舌先を伸ばし

自動車油の淆じる水をじぶじぶと舐めて飲んだ

僕は彼女を近くのコンビニへ連れて行くと

店員が床に掃き溜めた埃を買い求めた

砂や毛糸の絡んだ綿埃をひとつずつ泥すすりの口へ押しこんだ

「もう泥水を飲むのはおやめ。これからは埃を食べるんだ」

僕の言葉を理解したのか、彼女はとろんとした目で舌を鳴らした

僕は彼女の首へギブスを嵌めて飼い慣らそうと試みた

彼女の口へ 僕の劣情を差し入れると

水飴のような唾液が僕の患部を舐めて煮こごりの愛が暴発した

精液の野太いインクジェットと

草むらの廃村から香る枯れ草が絡んで朝も夜も関係なく焼け落ちる

こうして営まれた日ごとの愛が重なって

数千日もの基底レイヤーをなしてゆくうち 僕らの内がわから

本当の家族と呼べるものがあらわれた

それは一児の母となる彼女が やがては石や岩を噛んで

鋼の体を持つ我が子を育て上げる確信として

頑ななまでに盲信し かつ存在する紐帯なのだ