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インターネット死体蹴り

HKT48

寝室でコバエが落ちはじめた

家主が餌を与えるのを躊躇いだしたから

シーリングライトを踏んで輕快にポンピングし

気ままな王族として君臨していた彼らの栄華は徐々に翳りを帯び

壁面に付着した壁のシミの一点として振る舞う礼節を学んだ

老齢の哲学者としての黙考に耽り

ときたま慰めに加藤登紀子の百万本のバラを口ずさんだ

長い口吻からこぼれるのは貴女に捧げるためのべにばらの花束

彼らの飢えと餓えが昂進すると

不揃いだった歌は合唱として立ち上がりだし

やがてクローゼットの木目にそって並んだ数千数万のハエたちが

割れんばかりの大音声でがなりだした

真っ赤な真っ赤なばら色の指さすあかつきに

一小節歌うごとに臣下は力尽きて落下し

渇いたさんごすなのカラカラした虹色の翅が床に軽く積もってゆく

窓のない室内に吹きこんだ熱情

ハエたちはその最晩年にはがらりと趣旨を変えてアイドルに耽溺し

なかでも指原莉乃をこよなく愛した

死にゆく王の抱くそれは握手券つきCD

糞の付着した足跡べとつく紙切れの祝福

今際のきわに王はうめく「またとない」

そのすべては朝まだきに生まれ指ばら色の女神たるさしこのために