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インターネット死体蹴り

サウダージ

分厚いアクリルのような透明な壁に囲まれた保育園の

模造赤玉土の荒れ庭に僕はまだひとり立っている

土をいじり、地面をせわしなく行き来する擬造蟻体の列を

餌を巣穴へ引っ張りこむまで飽きることなく眺めた

お昼休みになると緑色の子供たちが僕を誘ってくる

彼らは瓦斯を詰めこんだカーボン球を投擲し

数十本のべたつく触手を自在に駆使して

ぶつけあう遊びをことのほか好んだ

だが僕はその遊びにはまるで興味がなくて

僕を取り巻く異星の世界とその有機的な連鎖から

カクゼツされていると感じた、クベツされていると

僕の華奢な体にはこの船の重力がつらすぎるから

この船の大気が軽すぎるから

赤ん坊の頃さらわれてきて地球人の気持ちのまま成長したから

僕は石を並べる遊びだけを好んだが

それはカーボン投擲に比べると陳腐でしかなく

僕の並べた無言の救難信号の意味は誰にも知られることなく

星間播種船は遠く母星を離れ

何万光年の距離を旅して深宇宙をひたすらに遠ざかる

少年の心に望郷の念はむなしく

いびつな成長剤を幾度となく投与され

三年ほどで大人になることをただむなしく学んだ