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インターネット死体蹴り

義眼交換会

木曜日の午後の定例お茶会で

六人の少女たちがそれぞれ持ち寄った私製義眼を交換する

くずきりの硝子体、羊羹の瞳孔、飴細工の角膜が

青くくすんだ瀬戸物の皿に一揃いずつ置かれて

ぬらりとした涙液の中にひたされ

ティーポットの中の紅茶葉が蛹から孵る毒蛾としてほころび

少女たちは 無言でお茶をくみ交わし

手に入れた義眼を代わる代わる自分たちの

虚ろな眼窩に押しこんんで

指でぐいと押して肉眼と視線を合わせると

「どう? どう? 似合う?」

などと榛色をした義眼のぐあいを友達に尋ね、だがしかし

和菓子でつくられた義眼が似合う者はその場には

ひとりもなく 少女たちは落胆して肩をおとし

「次はバターと小麦粉で試そうか」

などと相談しあい、自分たちがこしらえた目玉に爪楊枝を突きさして

お茶請けにして食べることにした

それからの数日は私製義眼の試作品の結果もあがらず

日が経つにつれ梅雨のじめじめした風が窓から這入ってきて

室内の調度品を嘗めつくし

少女たちの制服にブロッコリー状の黴をもたらした

黴は室内を埋め尽くし 厚い胞子のコロニーが至るところへ形成され

少女たちは全身黒と青の斑に冒されながら

嘆息した

それもこれも 全部お似合いの義眼が見つからないのが原因なのは明らかで

お嬢様校の生徒らしからぬ悪態を吐いては

黴だるまとなった友達の体をある方の目で見つめ 黴が恥ずかしがって

思春期未満の少女のうぶな体から離れるまで

じっと凝視し注視した 

黴がみずからの悪行を自覚して未熟な体をまさぐるのをやめるまで

ただ静かにお茶会のメンバー全員で 六つの瞳で睨んだ