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インターネット死体蹴り

飢餓

傷んだバターに含まれる蠱惑的な乳脂肪分が

精神に奇妙な作用をもたらしたのか?

僕らはもう ずいぶん長く人間の食べものを口にしていない

 

配られた乾燥したパンにバターを塗り重ね

青く黴びたバターの天鵞絨の地層を

一枚ずつ舌で舐め剥ぐうちに 僕らは伝染性の狂気に駆られて

たがいの喉を絞めあい

口汚く罵りあい

誰かが先駆けて食べものを盗み食いするのではないかと

むき出しの疑心暗鬼が

僕らの人間性を殺し どう猛な獣の食欲を支配した

 

僕らの断食は日をまたいで続き

胃がけいれんするほどの空腹をなぐさめるため

輸送列車の底へわだかまるぎとぎとした毛玉を

新鮮な化繊のサラダに見立てて食べた

喉へ絡んだのは 無数の細かなアクリルの糸屑と

病んだ虜囚の白髪の味

きたるべき餓えの恐怖を

僕らは唾液さえ湧かない非力なことばで訴えかける