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インターネット死体蹴り

爪たちの休息

工場の天窓から射した峻烈な秋日

耐熱紙コップを照らしてよ

埃の浮かんだ杜仲茶を労働明けの咽喉が飲み干したなら

透明バッグの中の薄紅梅のリップや柑橘のデオドラント

疲労にくすんだ掃除女が休憩室のテレビの前に腰をおろした

釉薬を垂らした百均のちゃちな急須

その陶器の蓋を

かまぼこ加工用の食紅で染められた長い爪がかちんと摘まんだ

紙コップのエンボス加工の表面を爪先でざりざり磨ぐ

鮮魚をさばいて傷ついた人さし指と親指の密かな交わりを

ひとえに愛だの恋だのと呼ぶのはぶしつけ

爪たちは

お昼のお情けみたいな休憩時間を

せわしない交合に耽って過ごした

金曜日の夜に予約したネイルサロンを心待ちにして