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インターネット死体蹴り

薫る紅茶の旅情

ティースプーンで突き崩した角砂糖のなかに

ひとさしの旅情を発見した

親切な誰かが僕の紅茶に浮かべてくれたのか

褐色の少女たちが揉んだ紅茶葉には

僕の旅立ちをそそのかす

期待と不安をない交ぜにした香気が含まれているのだろう

食道を流れ落ちる誘惑は断ちがたく

午後の仕事をこなしながら異郷の青ざめた空を漠然と想像し

赤道直下の燃える太陽を思い

どこか南国の架空のあでやかな民俗衣装の女を妄想し

浮ついた心はここにあってここになく 

紅茶が胃の底でちゃぷりと音を立てるたびに

無心にどこかへ旅したいと それだけを強く願い

それでも仕事を辞める勇気も覚悟もない僕は

残業前に便所に立ち

すべての旅情を尿として便器に流した